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「あ、ここ」 「ここですか?」 「ん、そ」 「あっ」 「だろ?お前の、弱点」 ニヤリとひとつ笑みを溢して 私を真っ直ぐに見ながら 弱いところを見つけてゆく先輩の指導は 本当に的確で…… 「ホラ、また」 「んー」 そうなんだ、と認めざるを得ない 「一試合で何回ヤってんだ後輩」 「す、すいません」 「今も、変わってねぇからマンツでプレスされたらビビってなんも出来ねんだよ」 言い返す言葉もございません 先輩は 私にどうしてもこのビデオを見せたかったらしい 中学2年の時のお宝映像だ 私のプレイはまるで成長が無いって事なんだって ガッカリだよぅ、ガッカリ ちょぴっとは上手くなったと 思ってたのに…… 「お前、真面目に聞いてんの?」 「あ、は、はい、もちろんですぅ!」 半ば泣きながら 半ば聞きながら それはもう先輩の有難い説法に耳を傾けていたその時 何処か袋の中で聞こえる電子音 ヴーヴー唸るそれは、きっと携帯のバイブレーション 私のスマホはサイレントにしてある筈 と、いうことは、唸っているのは 先輩の、だ 案の定先輩は、通学バッグの中から ブルーのスマホを取り出し 「もしもし」 そう言って部屋から出ていった
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