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お父さんの帰宅後 私は先に二階に引きこもった お父さんの相手は 悪いけど、賢兄に任せておく そしたら、おじさんもやって来て 何やら宴会が始まった様子 大人って お酒が入ると、とてもうるさい人種に早変わりするのね お父さんとおじさんが 昔よくこうやってお互いの家を行き来していた事を懐かしく思い出した 「おい、エリー」 部屋のドアが静かにノックされて 「なーに?」 「クレイユのケーキあるぞ」 「えー、この時間で??」 あたしは壁に掛かった時計を確認する もう九時半だった 「お前すぐ消費できんだろ、下来いよ」 賢兄が階段を降りて行く音が小さくなって あたしは、ヨイショ、と立ち上がった そこで、今日、スマホを開いていなかった事を後悔すれば良かった でも、この後悔は翌朝まで引き継がれる クレイユのケーキに負けたんだ たかがケーキ、されどケーキ 「あたし、レアチーズがいぃ!」 「おぉエリーちゃん、ちょっと見ない間に随分綺麗になったなぁ」 「おじさん、こんばんは」 おじさんは私に、まぁ、飲みなさい、と 言わんばかりにビールを勧めてくる 「オヤジ、エリーはまだ飲めねんだよ」 「えー、そうだったかぁ」 「娘を悪い道に誘うなバカタレ」 「なんだとー、このクソオヤジ」 こんなやり取りも久しぶりだと感じながら ケーキを突っついた
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