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眩しさと共に体にへばりつく 日本特有のジメジメとした空気 「あ、暑い……」 無性に喉が乾いて目が覚めた 当たり前だ やっぱり開いたままのカーテン 注がれた陽射しはもう夏のソレ 寝てても日焼けしちゃうからね シャワーに入ろうと階段を降りると トーストの香ばしい匂いが鼻をすり抜ける 途端に活発になる胃の動き 待ってましたとばかりに、ぐぅ、と唸った 「お父さん、おはよ」 「あぁ、エリーおはよう パン食うか?」 「うん、先にシャワーしてくるよ」 「なんだ、朝シャンか」 お父さんの言い回しはなんだか古い 一瞥してから口を開く 「暑くて、汗まみれ」 お腹が減ったのには勝てる気がしなくて 適当にシャワーを浴びて出てくると トーストとサラダらしき物がテーブルに 鎮座していた 「有り難う、お父さん」 「はいはい、って、お前、また ノーパン喫茶か……」 読んでいた新聞から視線を私に移して 呆れたようにため息をついた もちろん、私はドレスタオルを巻き付けただけのいつもの格好 「もう武瑠も年頃だし、それより前に エリーだって年頃だろ? いい加減に何か着なさい」 「……うん、今度から考える」 私がトーストにパクつくと お父さんはもう一度、深いため息 「そういえば、今日、賢吾と出掛けるんだって?」 「え?あー、そうだったかも」 レタスが大きくて、頬張った物が口の中に収まりきらずにいると 「お前、付き合ってるのか?」
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