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「どうだったー」
「うーん、サッパリ」
最近、学校が二期制なのは珍しくない
だけど、S高は三学期制
中間試験と呼ばれている物が無く、学期末試験のみ
その代わりに、小テストがやたらめったら多い
なにかってゆーと、抜き打ちの小テストばっかりで
毎日何かしらの小テストをしている
ここまで毎日だと、もう抜き打ちとさえ言い難く……
流石、偏差値高い学校だけあるな
そう考えて、女子高生には不向きな苦笑いを浮かべてみた
私の斜め前の席からクルリとこちらを向いて、今の小テストの出来映えを話す葵(アオイ)はS高に入って初めての友達
「サッパリ、って言いながらアンジーはちゃんと出来てんだよね」
はぁ、とため息をつきながら
シャーペンをくるくる回した
「アンジー、そう言えば
柏木先輩、昨日M高の彼女と補導されたって」
「え……」
柏木先輩の名前が出てきて
ついさっき見たアリーウープの映像がフラッシュバックする
「なんか、制服でラブホに入ろうとしたとこ、見つかったって……」
「そうなんだ」
この手の噂なんてもう日常茶飯事
「……アンジーには悪いけど柏木先輩の事、やっぱ信じらんないなぁ」
葵はそう一言ポツリと呟く
「だよねぇ」
入学して間もない頃
葵と仲良くなって、どうしてこの学校に来たのか、っていう話題になった時
私は迷わず柏木先輩を追いかけてきた事を話した
その時はまだ、先輩はバスケ部だと信じて疑わなかったし
中学時代のハツラツとした
凄い先輩の話を何度も何度もした
だけど
そのうち、柏木先輩はバスケ部には居ない、という事実をきっかけに、もっと別の柏木先輩を目の当たりにする事になる
あんなにバスケが好きで
あんなに凄いプレイをして
あんなにみんなを惹き付けていたのに
どうしてバスケをしなくなったんだろう
ううん、違う
どうしてバスケを辞めてしまったのか
私は首を傾げて
いつものようにウーン、と唸る
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