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いくら考えても サッパリ分からなくて 私の中での柏木先輩のイメージで 今の柏木先輩が出来上がる筈も無いんだけど でも 毎朝、コートにいる柏木先輩は 私の知ってる先輩で とても楽しそうにバスケをする 雨の日も必ずコートに立って 黙々とプレイする 学校での先輩はひとつも当てはまらなくて 考えようも、無かった 「あ、アンジーごめん」 葵が眉を下げて言うから あたしも慌てて唸るのを止めて うちの中学出身者はS高に一握り バスケ部だったのは、先輩と私だけ だから、昔の先輩はこうだった、と知る人が余り居ない バスケ部の先輩も、柏木先輩の話はしたくないみたいで みんながみんな、口を噤む(つぐむ) 一体、何があったんだろう 中学時代は先輩を慕っていた私も 今では近寄れさえしない、弱い人間 だから、毎朝あの時間に 柏木先輩をこっそり見るしか出来ない だけど こんな先輩との距離が 一気に縮まる出来事が、今日これから 私を待ってるなんて 想像もつかなければ、予想さえ出来なかった
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