不運

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「わっ!!」 突然左側から襲ってきたもの凄いショックに目が眩んだ。 車ごと何かに撥ね飛ばされたんだと、何となくだったけど判断できた。目の前はぐるぐる回ってるのに、その間が不思議とVFXを駆使した映画の一シーンみたいに長く、状況を考えられる変な余裕みたいなのが生まれていたからだ。 ごうごうガリガリざらざらガンガンと、普段じゃ絶対聞かない音に包まれたまま、頭の上、体の下、と交互にぐしゃぐしゃと車が潰されていく激しい衝撃がしばし続いたのち、ぼくの視界はゆっくり一回転しながら大きく揺れて、止まった。 「……」 目を開けたら、視界が斜めになっている。 ……もしかすると少し気を失っていたのかもしれない。 車ごと横倒しにされて、こんな風に、土砂に体が埋められた瞬間の記憶なんかなかったからだ。
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