側近の誤算

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人と魔物がいがみあうようになって幾星霜。 最早、両者が争うようになった発端が何であったかも分からなくなった現在。 相変わらず人は、魔物の王ー『魔王』を討つために『勇者』という選ばれた存在らしき者を次々と魔王城に送り込む、という非効率的としか言いようがない行動を繰り返しています。 私は長い間その行為を近くで見守ってきましたが――今まで一度としてそれが成功したことはありません。 勇者たちは毎度、我らが魔王様との戦いに無残に敗北しては人間界に送り返されます。 魔王様は無駄な殺生を好みませんので、死にはしない程度に痛めつけられて。 それを幾度も幾度も繰り返すこと数十年。 …いえ、先代の魔王様の代から続いているとの話なので、ひょっとすると百年程はこの下らない戦いを続けているのかもしれませんね。 何故人は諦めというものを知らないのだろう、と私的にはまったく不思議でなりません。 今日も今日とて、新たな犠牲者(勇者+そのパーティ)がこの魔王城に訪れます。 それを見て、私は思うのです。 そろそろ、この無意味な争いは止めにしたらどうだろう、と。 .
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