こたクンの恋人

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東京駅に着くと二人のママたちが息子の帰りを待ちわびて立っていた。 本当は仲良しなのかもしれないな。いつも会うと喧嘩ばっかりしているけど。 「雪兎ぉ、おかえりぃ~」 「虎太郎、無事?」 それぞれの息子に飛びつく。 「おう、向こうで関西の組長に挨拶された」 「そう、お疲れだったわね」 「これだからヤクザと雪兎を一緒に出したくなかったのよ」 「お母さん、こたクンカッコ良かったんだよ。大人の組長さんともちゃんと渡り合っててさ。立派だったよ」 「そう・・・」 お母さんのむくれた顔。そしてこたクンに 「うちの息子に手ぇ出してないわよね」 ズバッと斬りこんでくる。 「も・・・もちろんだよ、冴子さん」 こたクンはひきつった笑顔で嘘を言っていた。 お母さん、ごめんなさい。僕ら本当の『恋人同士』になったんだよ。 ちょっとだけHなこともした。将来の事も話し合った。 もしお互い好き同士のままだったら、僕はこたクンのお嫁さんになる約束もした。 あと四年・・・お父さん、お母さんは許してくれるかな? 組長さんや冴子さんも許してくれないだろうし・・・。でもゼロじゃないんだ。 二人で頑張るってこたクンと約束したんだ。 「何でアンタら親子もうちの車に乗ってるのよ」 黒塗りの車の中で喧嘩。相変わらずお母さん達は騒々しい。 「虎太郎が雪兎に送ってってやるって言ったからじゃない。雪兎が乗るなら私も乗るわよ」 「冴子は乗っていいって言ってない」 お母さんたちの漫才が続く中、車の中で僕たちはそっと手を繋いでいた。 こたクンと一緒なら大丈夫。きっとがんばれるさ・・・。 こたクンもにっこり微笑んだ。
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