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ほどなくして声がした。
「若、いましたよ」
「よかった。立川、ありがとう」
強面のスキンヘッドのおじさんが見つけて、こたクンに知らせてくれた。
「コラ!ゆきっ!心配させやがって!遅い時は迎えに行くって言っただろ」
「だって・・・僕、こたクンの迷惑になってるでしょ?僕のせいで彼女作らないんじゃないの?」
こたクンは目を丸くしてしばらく黙っていたかと思うと、急に大声で笑いだした。
「なに?」
「だってよ。めちゃくちゃ見当違いだからさ。笑える・・・」
「そんなにおかしい?僕、真剣に考えて・・・」
「やっぱゆきだわ・・・そんな発想になるの。奇想天外っていうか、まったく想定外だ。そこが面白いんだけど・・・」
「真剣にやってんのに笑うことないだろ。僕、頼ってばっかりで・・・迷惑かけてばっかりで、だから・・・」
「ゆっくり大人になれ・・・ゆき。本当はずっと頼って欲しいくらい。ずっと俺が守ってやるから」
「でもそれじゃあ、こたクンが・・・困るよ」
「なぁ、ゆき。お前好きな奴いるか?すごい大事だなって思う奴」
「大事?・・・大事なのは・・・こたクンだよ」
クスクスと笑ってから
「俺もだよ・・・ゆき」
「本当?」
「そう、ちょっと目つぶってみ」
「こう?」
目を閉じてじっとした。
そうしたら唇に何かが触れたみたい・・・唇?こたクンの・・・。
耳まで真っ赤になった。
「いっ・・・今の・・・キッキス?」
「そう。俺が好きなのはお前だ。分かったら俺を困らせる様な事はするな」
えっ・・・ええ~っ!
「あの・・・僕、男だよ」
「知ってる。幼稚園の時も小学校の時もアレ見てる、確認済」
「なら、何で?」
「好きに理由がいるのか?」
「・・・・・いらない//」
「じゃあ、いいだろう?」
握られた手はあったかくて安心するものだった。
とにかく恥ずかしくなってまともに顔が見れなかった。
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