第一夜:お目覚めですか、女王様

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「まったく…ビショップ、てめぇーは堅すぎんだよ。俺はC級の長、称号は騎士(ナイト)よろしくな」 ナイトはスッと手を差し出す。 ルナは差し出された手をぎゅっと握った。 ナイトは燃えるような真っ赤な髪に優しそうな茶色い瞳をしていた。 「ナイトさん抜け駆けすんじゃねーよ!僕はD級の長!称号は歩兵(ポーン)だよっ!よろしくね!」 あれ…?? なんか最初キャラが違うような…?? ポーンは茶色い髪に茶色い瞳と まだ幼さの残る笑顔をルナに向けた。 「クイーンさん気をつけろよ??こいつ、可愛い顔してるが腹黒いからな」 ナイトはカラカラと笑ってポーンの頭を撫でる。 「やめてよ、子供じゃないんだから!」 ポーンはぷくっと頬を膨らませそっぽを向く。 そんなやりとりを眺めているとふと、疑問が頭に浮かんだ。 思い切って皆に聞いてみることにした。 「皆さんの階級や称号はわかったんですけど…お名前はないんですか…??」 「そんな事ですか…」 ビショップはそれが何か??とでも言いたげな視線を向ける。 「俺たちヴァンパイアは称号を受け取ると共に自分の名前を捨てるんだ。だから、自分の名前なんて誰も覚えて居ない。」 「だから、先ほどもお伝えしたように、称号が名前のようなものなのです」 「一度捨てた名前だから思い出したいとも思わないけどね」 ポーンはさも当然のようにそういった。 でも… 自分の名前がわからないって寂しくないのかな… 「他に何か聞きたいことはありますか??」 ビショップの言葉にもうひとつ気になっていた事を思い出す。 それは皆の左胸にある光り輝くブローチ。 「あぁ、これはそれぞれの長がつける特別なブローチだよ。これはチェスの駒にそれぞれなってるんだ。」 ポーンがわかりやすく説明してくれる。 確かに言われてみればポーンのつけているブローチはチェスの歩兵の形をしている。 聞けば称号と同じ駒のブローチをつけて身分証明の役割を果たしているんだとか。 ちなみにキング、ビショップ、ポーンが黒色。 ルークとナイトが白色になっている。 皆デザインこそはシンプルなものの細かい装飾が施されていて 高級なのは一目見てわかる。
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