第一夜:お目覚めですか、女王様

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「私たちは貴女をずっと待っていたんです…長い長い気の遠くなるほどの長い間。」 ビショップは遠くを見つめてそう呟いた。 「あぁ、クイーンが産まれたとわかった時から俺達はずっとお前達を見守っていた。」 キングの言葉に違和感を覚えた。 「ずっと…見守っていた…??」 「そうだ、リリーナとカイトを通してな。」 「…ッ!」 そこでハッとする。 そういえばまだリリーナおばさんとカイトの事聞いてない。 その時、先ほどのリリーナおばさんとカイトの言葉が頭をよぎる。 "ついに来てしまったのね…この時が…" "あぁ、そうだな…お待ちしておりました、皆様。" 確かにそう言っていた。 ルナは不安気にリリーナおばさんを見つめる。 「ルナちゃん…私たちもキング様達と同じように、人ではないの…今まで騙しててごめんなさい。」 リリーナおばさんは悲しそうにルナを見つめる。 「リリーナおばさんもヴァンパイアなの…??」 「えぇ…そして私達はキング様に使える使用人なの。」 「えっ…」 「母さんはメイドとして働いていて俺は執事として働いている。」 聞けば、カイトは男性使用人のトップの執事で リリーナおばさんは女性使用人のトップのメイド、と言うより家政婦さん。 キングとは幼い頃から一緒におり 絶大な信頼があるため、この2人なら任せられると思い ルナの成長を見守るため2人が送り込まれた。 「でもルナちゃん信じて、もちろん最初は仕事だと思っていたけど…一緒に過ごすうちに本当の娘のように貴女を想っているわ。」 「もちろん俺も可愛い妹と言う事に変わりはない。」 そう言って不安そうにこちらを見る。 ぽたっ… 「あ、れ…」 涙がこぼれようやく自分が泣いているのだと気づいた。 「良かった…」 リリーナおばさんとカイトの言葉が素直に嬉しかった。 本当は少し不安だった。 もし"仕事のために仕方なく一緒に居た"と言われたらどうしよう、と。 「ごめんなさいね…ずっと黙っていて…」 そう言ってリリーナおばさんの 暖かい温もりにそっと包まれた。 「貴女はこのリリーナの娘に変わりわないわ。」 「はいっ」 ルナは涙を拭い、ようやく笑顔を浮かべた。
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