第二夜:ようこそ、女王様

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「ルナ、こっちへ来い。」 キングが来い来いと手招きをする。 「キング抜け駆けはダーメ。」 ぐいっとルークに肩を抱かれる。 「僕にしときなよ…クイーン様…??」 耳元で甘くそう囁かれる。 「変態は黙っていてください。さぁ、クイーン様こちらへ。こんな方と一緒にいては汚れてしまいます。」 そう言ってビショップはべリッと2人を引き剥がす。 そしてクイーンを自分の腕の中へ。 「そう言うお前もどさくさに紛れてなにやってんだよ!」 ドカッとビショップの頭を殴るナイト。 「…ったく、まともな奴はいねぇのか」 ナイトに救出されやっと一息ついた。 「本当だよねー、皆自分勝手すぎるよ。クイーン様が困ってるよ」 ポーンのひとことに一斉にこちらを見るヴァンパイア達。 「す、すまない…つい…」 「僕とした事が女の子を困らせるなんて…」 「けして悪気があったわけでは…」 今度は一斉にシュンッとなり始めた。 「だーっ!めんどくせぇ!クイーン様を俺たちの土地へ連れて帰るんじゃねぇのかよ!」 痺れを切らしたナイトが叫ぶ。 そして、他の上位3人のヴァンパイアは電気が走ったかのように動かなくなった。 「もしかして忘れてたとかじゃないよね?」 ポーンがギロリと睨みつける。 そしてビクッと効果音が付きそうなほど3人の肩は揺れた。 「けして忘れてなど…」 「そうだよ、ポーンったら何を…」 「ええ、ちょっと夢中になっていただけで…」 「やっぱり忘れてるじゃん!」 「「「うっ…」」」 3人は今度こそ何も言わなくなった。 「ふふっ…」 ルナはそれを楽しそうに見守っていた。 「まったく…」 ポーンとナイトははぁ…とため息をつき、頭を抱えるのだった。 しばらく他愛のない話をしてビショップがわざとらしく咳払いをした。 「ゴホンッ…さて、そろそろクイーン様を私たちの土地へご招待致しましょうか。」 そう言うビショップの言葉を合図に… 「「「「あぁ…」」」」 ヴァンパイア達の表情がピシッと引き締まった。
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