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一人の少女が慌ただしく家の階段を駆け下りる。
ーー少女の名前はルナ。
艶のある美しい黒髪
雪のように白い肌、紅いルビーのような瞳。
本人は気づいていないがかなりの美人である。
ルナは階段を降りると力一杯扉を開いた。
ーバンッ!!
「リリーナおばさんっ!」
「あらあら、ルナちゃん元気ね。」
リリーナと呼ばれた女性はルナを見るとフフッと笑った。
リリーナおばさんは薄緑色の瞳に
栗色の髪を一つに束ねた見るから優しそうな女性だ。
ルナは幼い頃からリリーナおばさんにお世話になっている。
ルナの両親は物心ついた頃にはもうすでに他界していた。
そして頼りになる身寄りもなく
途方にくれている所にリリーナおばさんが私を拾ってくれた。
リリーナおばさんは息子と二人暮らしをしていて
その息子も快く私を受け入れてくれた。
「…ったく、ルナうるさいぞ…」
そう言ってリビングにやっていたのはリリーナおばさんの息子、カイト。
切れ長の茶色の瞳。
クリーム色に近い、薄いベージュ色の髪。
結構この界隈ではイケメンだと人気らしい。
「降りてくるのはいいがもう少し静かに降りて来いよ…」
「だってお腹空いたんだもん!」
ルナはぶーぶー文句を言いながらカイトに抗議する。
「はいはい、今並べるから、ちょっと待ってちょうだいね。」
リリーナおばさんは可笑しそうに笑いながら
ルナの大好物のシチューやサンドイッチがテーブルに並べられて行く。
「今日はルナちゃんの誕生日だから、ルナちゃんの大好物ばかり作ったのよ。」
「ありがとうございます!」
ルナ嬉しそうに席についた。
そう、今日はルナの16歳の誕生日。
リリーナおばさんはいつも誕生日の日は
ルナの大好物を作ってくれる。
まるで本当のお母さんのようにルナもリリーナの事を慕っていた。
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