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「私達ヴァンパイアの間では、何百年に一度特別な血を持った"クイーン"が生まれると古くから言い伝えられています。」
「特別な、血…??」
「そう…それは甘く、甘美なる果実…」
ビショップの目がキラリと怪しく光った。
「クイーンの血の香りはヴァンパイアを酔わせ、その血を味わえば永遠の虜となる。一雫飲めば傷は癒え肉を喰らえば永遠の命を手に入れる。」
「永遠の命…」
「そう。そしてそのクイーンの生まれ変わりがルナ様、貴女です。」
「…っ!」
それが、私の人ではないと言う理由…
「でも、私は今まで普通に生活をして生きてきた。もし私がクイーンと言うならとっくに命を狙われて死んでるはず…」
「だから自分はクイーンではないと??」
ビショップの言葉にコクリと頷く。
「信じがたいのはわかりますが、それには理由があります。クイーンの血が覚醒するのには条件があるのです。」
「条件…??」
「えぇ、それはただひとつ…16歳の誕生日を無事迎えることです。」
「16歳の誕生日…??それって…ー!」
「ー今日、だな…」
ずっと目を瞑って
黙っていたキングが口を開いた。
「えぇ、それに…今日は紅い月が昇る満月。紅い満月は滅多に現れないものと聞いていましたが…まさかクイーンの覚醒に関係していたとは…」
「素晴らしい」と呟きビショップは笑みを浮かべた。
月を眺めた時、身体を走り抜けた激痛は…
私が"ただの人"では無くなった瞬間…
「それともう一つ、クイーンと証明するものがございます。」
「一体なんなの…??」
ルナはビショップを見つめる。
「ークイーンの瞳の色は代々、赤と決まっているんです」
「…っ!!」
「お前の周りに赤い瞳のやつはいたか…??」
キングは試すようにこちらを見る。
「いな、い…」
確かに小さい頃、この瞳の色を良くからかわれた。
でも、ただそれは珍しいだけだと思ってた…
「人の瞳の色は様々ですが、瞳の色が紅に近いほどその血は極上の味へとなるのです。つまり青い瞳の人間の血は不味く、赤に近いピンクなどが美味、という事です。」
「ま、人間の瞳の色はピンクが限界だけどな」
「…っ!」
キングの言葉がグサリと突き刺さる
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