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「…落ち着いた?」
「うん…」
さっき、午後の授業の予鈴が聞こえていた。
しかし、海月の涙は止まらなくて、2人で授業をサボる事になってしまった。
…グラウンドの生徒の声が遠くに聞こえる。
海月は今、フェンスに背中を預けて、片足を立てた理紫の膝の間に座らされている。
髪を梳く理紫の長い指が心地よい。
目を瞑って、理紫の胸に頭を寄せた。
理紫が困ったような顔をする。
「海月、俺のこと怖くないの?」
海月は少し考えるように小首をかしげたが
「さっきは怖かったけど、今は怖くないよ?」
と答えた。
「…本当にもう怖くない?」
理紫が不安そうに、確かめるように、海月に問う。
海月はコックリと頷いて「…だって、もう怖い事なんてしないでしょう?」
と言った。
その言葉を聞いて、髪を梳く手が止まる。
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