7.

15/24
前へ
/39ページ
次へ
「…落ち着いた?」 「うん…」 さっき、午後の授業の予鈴が聞こえていた。 しかし、海月の涙は止まらなくて、2人で授業をサボる事になってしまった。 …グラウンドの生徒の声が遠くに聞こえる。 海月は今、フェンスに背中を預けて、片足を立てた理紫の膝の間に座らされている。 髪を梳く理紫の長い指が心地よい。 目を瞑って、理紫の胸に頭を寄せた。 理紫が困ったような顔をする。 「海月、俺のこと怖くないの?」 海月は少し考えるように小首をかしげたが 「さっきは怖かったけど、今は怖くないよ?」 と答えた。 「…本当にもう怖くない?」 理紫が不安そうに、確かめるように、海月に問う。 海月はコックリと頷いて「…だって、もう怖い事なんてしないでしょう?」 と言った。 その言葉を聞いて、髪を梳く手が止まる。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2119人が本棚に入れています
本棚に追加