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海月は自分の失言に八ッとなり俯いた。
「ねぇ海月、どういう意味?」
理紫が詰め寄ってくる。
海月は俯いたまま黙っている。
「ねぇ…」
理紫が海月の肩に手を置こうとした時、海月がスッと身体を引いた。
理紫が固まる。
「ごめん…なさ…い。」
海月が身を翻し、ドアの方へ駆け出した。
「海月っ!」
鍵を開け、ドアを開け、海月が階段を駆け下りて行く音がする。
一瞬遅れた理紫は、海月を追いかける事が出来なかった……。
「…ク…ショ…ッ!」
ガッシャーン…ッ!!
残された理紫は思いきり、フェンスを蹴る。
そして、静寂。
理紫は自分の手をジッ…と見ると、ため息をついた。
「…さっきまではこの手の中にいたのにな」
近づいたと思ったら、遠ざかる。
捕まえたと思ったらスルリと逃げて行く。
その時、ザザザァーッと突風が吹きつけた。
「…どうしたらいいか、分かんねぇや」
乱れた髪をそのままに、理紫が呟いた。
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