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「逃げられちゃったねぇ」
声が聞こえて理紫が見ると、入り口のドアにもたれかかるようにして菜花が立っていた。
「…髪くらい直しなさいよ。色男が台無しだよ」
「黒来…」
「何、情けない顔してんのよ。」
理紫がグシャグシャと頭をかく。
「…お前、いつからそこにいたんだよ」
「う~ん、途中から?」
菜花が、口に人差し指を立てて答える。
「出てった時、海月はお前に気付かなかったのか?」
「ちょっと横の方にいたからね~。まさか誰かがいるなんて思ってもみないだろうから。…あの子、すごい勢いで行っちゃったしね」
「…何で追いかけなかったんだ?お前、海月のボディーガードだろ?」
菜花がフフっと笑う。
「それは、真理がいるから大丈夫。私はねぇ…」
何だ、平井もいたのか…という顔をしている理紫に、
「徳井、あんたと話がしたかったから」
と、のたまった。
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