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窓をしっかりと閉め、ドアの鍵をかけ、それでも誰にも聞かれない様に入り口から随分と離れた所まで移動する。
「…ここらでいいかな」
菜花が辺りを見回した。
「さて…と、どこから話そう」
色々な事が菜花の頭の中で巡った。
理紫を見ると、菜花が話すのを、じっと待っている様だ。
…私の話を聞いて、あんたがどうするか、私も見せてもらうわよ。
理紫から目を逸らして、菜花が語り始めた。
「海月と真理と私は中学からの付き合いなのね。
私は、1、2、3年と海月と同じクラスで真理は3年で一緒だったの。
初め、海月を見た時はビックリしたわ~!あの美貌だもの。まだ幼さが残ってて、儚いっていうの?、本当に天使かお姫様って感じだったわよ」
「…今だってそうだろ?」
理紫が口を挟む。
「…はいはい、徳井くんにも見せてあげたかったですよ」
菜花が言うと、理紫はブスッとしてよそを向いた。
「別にいい、今の海月が海月だから」
菜花は、笑いが込み上げてくるのを抑えるのに必死になる。
…全く、海月、あんたの大好きな理紫くんは、あんたの事でこんな顔してるよ。本当に学校一の『モテ王子』?
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