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海月はあまりの事に言葉も出ない。
「…海月?」
理紫がそっと、海月の腕を引く。
けれど、呆然とした海月は、動く事も出来ない。
…理紫は、今あった出来事を、《大事な友達》に対する過剰な友情だって言うの?
靄(もや)のかかる頭の中で、それだけは理解した。
私はもう、理紫の《彼女》にはなれないんだ…。
されるがままの海月を、理紫はフワリと抱き寄せる。
海月はそのまま、理紫の胸に頭を預けた。
結局、何も伝わらない…。
私の好きと理紫の好きは違いすぎる。
…もう、涙も出てこない。
周りの人達が言う通り、本当に酷いヒト。
それでも、好き、苦しい程に好き…。
胸に閉じ込めて、優しく抱き締める理紫の指先が、本当はもう離したくないと、海月を好きだと、切なく叫んでいる事は、今の海月に伝わる訳はなかった…。
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