1533人が本棚に入れています
本棚に追加
昼休みが終わって、教室に戻っても海月の心は沈んだままだった。
受けた授業は、何1つ頭の中に入ってこない。
頭を回っているのは理紫の事と、昼に杉浦の言っていた事。
それに、今日は、理紫を見ていない……。
放課後、海月が帰り支度をしていると、教室に迎えに来た菜花が、開いたドアをコンコンと叩いた。
海月が急いでカバンを持ち駆け寄るなり、「…どうする?」と、聞かれる。
主語が無くても、『今日、図書室に行くか、行かないか』という事だと、すぐに分かった。
海月は躊躇う事無く、「行く…」と、答える。
「大丈夫なの?」心配そうに菜花が海月の顔を覗き込んだ。
「…大丈夫」海月がしっかりと頷く。
…大丈夫だと、何よりも理紫の姿を見たいと、海月は、その時はそう思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!