13.

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その低い声は、さっきまでの理紫のものとは違っていた。 「…海月、もう遅いから」 ハラリと落ちた前髪の間から、理紫が海月を見つめる。 その薄茶の瞳が、ライトの加減で、捕食動物の様に金色に光って見えた。 「今更、駄目だって言っても許さねーよ?」 理紫は、親指と人差し指で捕らえたままの顎を持ち上げると、艶めいた笑みを浮かべる。 コクリ…と、海月は息を飲んだ。 でも海月は、今度は理紫から瞳を逸らさない。 許さなくていい…。 海月は思う。 今夜が、最初で最後のチャンスかも知れないから。 だから神様、今夜だけ、悪い事をしようとしているのは理解(わか)っているけど、今夜だけ…。 今夜だけ、理紫を私に下さい…。
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