第8話 14.

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「へぇ、ここに住んでるんだ」 「恥ずかしいから、あんまり見ないでね…?」 カチャカチャと、鍵を開ける音が響く。 手が震えて、上手く開ける事が出来ない。 理紫にとっては、沢山ある夜のうちの1つでも、海月にとっては初めての事。 いかにも、それだけをする場所ではどうしても嫌だったから、部屋を教えるのは抵抗があったけれども、海月は自分のアパートに理紫を招いた。 「そうか、こんな所に住んでたのか。 …分かんねー筈だな」 理紫がキョロキョロと辺りを見回す。 「…?、駅からちょっとあるから、ちょっと分かりずらいよね」 「大丈夫、もう覚えたから」 理紫がニヤッ…と笑った。 その言葉を聞いて、海月が眉間にしわを寄せる。 カチャ…。 「どうぞ、入って?」 海月は、その扉を開けて、中に理紫を促した。
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