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思わず目を伏せた海月に、
「…で?他には?」
理紫の不機嫌そうな声が聞こえた。
恐る恐る顔を上げると、スイッチの近くで、腕組みをして、肩を壁にもたれかけている理紫が目に映る。
「えっ…、あの」
「…逃げるつもりなら、今日は許さないって言ったよね?」
口唇の端を少しだけ持ち上げて笑っているが、目は怒っている様だ。
「逃げようなんて、してない…」
「そ…?
なら、いいけど」
理紫が、そっと海月の頬に手を伸ばす。
「気になる事があったら、今のうちに言ってよ」
海月がピクン…と身体を震わせる。
理紫の触れる指先が熱い…。
「…次は、やめてなんてやれないから」
挑む様に艶めいている理紫の瞳に、海月は飲み込まれてしまいそうになる。
けれど、その手が海月の頬を包み込もうとした時、
「おっ、お風呂は…?」
海月が言った言葉に、理紫がまた、ため息を付いた…。
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