第8話 14.

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「…俺は後でいいから、海月、先に浴びておいで?」 理紫に言われて、海月が先にシャワーを使う事にした。 海月はシャワーを浴びながら、さっきの理紫の言葉を思い出す。 『今夜だけは、俺のモノになって…』 …好きだと思われているみたいで、勘違いしてしまいそう。 でも、そんな事はあるわけない…! 海月はぷるぷると、首を振る。 あの高校生活の1年半で、身を持って知ったはず。 理紫は、私をそういう意味では絶対に好きにはなってくれない。 きっと、今回の事は、理紫が、私とマスターがお付き合いしていると思っているから。 興味…?好奇心…? それとも、久し振りに見つけたオモチャを取られたと思ってる? …何でもいい。 理紫は私としたいと思ってくれた。 だから、私は、その気持ちを利用する。 今夜だけ、理紫に抱いてもらったら、それを一生の宝物にして生きていく。 熱いシャワーを浴びているのに、カタカタと海月の指先の震えは止まらない。 だから、初めてって知られちゃダメ…。 知られたら、きっと、重くて、理紫はやめてしまう。 チャンスは今夜だけなの。 どうか、上手くいきます様に…。 海月は、その震える手を重ねて祈っていた。
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