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「…俺は後でいいから、海月、先に浴びておいで?」
理紫に言われて、海月が先にシャワーを使う事にした。
海月はシャワーを浴びながら、さっきの理紫の言葉を思い出す。
『今夜だけは、俺のモノになって…』
…好きだと思われているみたいで、勘違いしてしまいそう。
でも、そんな事はあるわけない…!
海月はぷるぷると、首を振る。
あの高校生活の1年半で、身を持って知ったはず。
理紫は、私をそういう意味では絶対に好きにはなってくれない。
きっと、今回の事は、理紫が、私とマスターがお付き合いしていると思っているから。
興味…?好奇心…?
それとも、久し振りに見つけたオモチャを取られたと思ってる?
…何でもいい。
理紫は私としたいと思ってくれた。
だから、私は、その気持ちを利用する。
今夜だけ、理紫に抱いてもらったら、それを一生の宝物にして生きていく。
熱いシャワーを浴びているのに、カタカタと海月の指先の震えは止まらない。
だから、初めてって知られちゃダメ…。
知られたら、きっと、重くて、理紫はやめてしまう。
チャンスは今夜だけなの。
どうか、上手くいきます様に…。
海月は、その震える手を重ねて祈っていた。
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