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ハァ、ハァ…。
息が切れる、どこまで行くの?
「理紫…、待っ…て」
やっと構内を抜けると、息も絶え絶えになりながら海月は理紫に声をかける。
理紫は笑いながら、入り口の石階段の、上から2段目に腰掛けた。
海月も隣に座り込む。
「…だから、抱いて連れて行こうかって言ったのに」
横の手摺りに肘を付き、手の甲を口元にあてると、理紫はクックッと笑った。
「…何ンで、息…、切れて、ない…の?」
ハァハァと胸に手をやる海月に、
「まぁ、鍛え方が違いますから」
と、また笑いながら言う。
信じられない…と、海月は首を振り、動悸を抑える為に膝を抱えて俯いた。
「私、死んじゃいそう…」
思わず呟いた、その耳元で、
「…その言葉は、今夜ベッドで聞きたいな」
と理紫が艶めいた声で囁く。
「…っ!」
動悸が別の意味で激しくなった。
「…っていうか、今からでもいいけど?」
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