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「…これ全部、サトに付けられた跡?」
そこには、無数に散った朱い花びら…。
桐谷は呆れた様に笑って、
「…どんだけ、独占欲つえーんだ?」
と呟いたが、放心状態になっている海月には聞こえない。
サト…、本当にお前ら、そんなに好き合っておいて、何ンで何ヶ月も離れてたんだよ…?
桐谷は、チッ…と舌打ちをすると、捕らえていた海月の手を解き、はだけていた胸元を合わせてやった。
「ごめんね、みぃちゃん。ちょっとふざけ過ぎちゃったかな…」
そんな事を言っても、きっと、許してはもらえないだろうけど、ね。
「でも、初めて会った時から本当に好きだったんだよ…?」
いつか自分が、その心を痛めているものを取り除いてやりたいと、ずっと思っていた。
けれど、去年の高校選手権の地区予選で見た時から、サトの才能にも惚れているから…。
眉根に皺を寄せて笑う。
…全く、両方に一目惚れなんて、どーしようもねーよな。
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