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バシン…ッ…!
理紫が叩き付ける様に窓を開けると、パリーンと割れたガラスが下に落ちる…。
ガラスで切ったのか、理紫の手には血が付いていた。
「サト、お前、手を怪我してるんじゃ…」
桐谷が何かを言うのが聞こえたが、一瞥もせずに、海月の側に駆け寄る。
「海月っ…?海月!」
普通の状態ではない事に気付いて理紫が揺さぶると、海月は虚ろな瞳のまま理紫に視線を向けた。
「理…紫…」
名前を呼ばれて、理紫はホッと息をつく。
「分かるか?」
「私…?」
瞳がだんだんに色を取り戻していくのを見て、理紫は起き上がろうとする海月を支えてやるが、
「ありが…」
えっ…。
海月は、乱れた自分の胸元が目に入りハッ…となった。
「いや…っ!」
全ての事が頭に甦って、全身に震えが走り、理紫の手からも逃れる。
「海月っ!」
海月は、弾かれた様にテーブルから降りると、床に座って縮こまった。
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