第10話

15/18
前へ
/40ページ
次へ
理紫が海月の手を取り、今度は抵抗しないのを見ると、そのまま引き寄せて抱き締める。 海月は理紫の腕に収まると、安心感からか声をあげて泣き出した。 絶対に、許さねー…。 血が付いた自分の拳が目に入り、理紫が思わず舐めると、 「…大丈夫なのか?」 と、桐谷が後ろから声を掛けてきた。 その声を聞いて、理紫に頭が逆立つ様な怒りが襲ってくる。 「おい…」 「……るな」 肩を掴もうとした桐谷は、その怒りに満ちた低い声を聞いて、出した手を引いた。 「2度と俺達に近寄るな…」 理紫がもう1度言う。 「…分かってるよ」 その言葉に桐谷はため息をついて、そう答えた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1552人が本棚に入れています
本棚に追加