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理紫はまたため息をついた。
「俺の話なんかして、どうするんスか…」
海月の話をしていた筈なのに、話が変わっている。
葉山コーチ、そんなに友達だからってペラペラ喋って違反じゃねーのか?
「分かんねぇんだよ。あっちの方がお前の事欲しがってくれてんなら、悩む事ないじゃないか。《西東京レヴァンティン》は今はJ2だが、来期J1に復帰しそうな勢いだし、あそこは育成にも力入れてるし、今までに代表も出してるし…」
「分かってますよ」
桐谷が言い終わる前に言葉を被せる。
でも、そんな簡単な話じゃない…。
「…サッカーやってんだから、プロになりたいと思った事がないなんて言わせねーぞ」
凄んだ声に驚いて桐谷を見ると、今までにない冷たい瞳で理紫の事を睨んでいた。
「恭さん、そんなに熱い人間でしたっけ…」
「…プロでやりたかったのに、やれなかったヤツなんて山程いるんだよ。持ってるのに、溝(ドブ)に捨てようとしてるお前に腹が立ってるだけだ」
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