第10話

3/18
前へ
/40ページ
次へ
理紫はまたため息をついた。 「俺の話なんかして、どうするんスか…」 海月の話をしていた筈なのに、話が変わっている。 葉山コーチ、そんなに友達だからってペラペラ喋って違反じゃねーのか? 「分かんねぇんだよ。あっちの方がお前の事欲しがってくれてんなら、悩む事ないじゃないか。《西東京レヴァンティン》は今はJ2だが、来期J1に復帰しそうな勢いだし、あそこは育成にも力入れてるし、今までに代表も出してるし…」 「分かってますよ」 桐谷が言い終わる前に言葉を被せる。 でも、そんな簡単な話じゃない…。 「…サッカーやってんだから、プロになりたいと思った事がないなんて言わせねーぞ」 凄んだ声に驚いて桐谷を見ると、今までにない冷たい瞳で理紫の事を睨んでいた。 「恭さん、そんなに熱い人間でしたっけ…」 「…プロでやりたかったのに、やれなかったヤツなんて山程いるんだよ。持ってるのに、溝(ドブ)に捨てようとしてるお前に腹が立ってるだけだ」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1552人が本棚に入れています
本棚に追加