18.

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もしかして、聞かなきゃ良かった? 「今すぐここでヤっちまうぞ、ってね」 艶めいた声で面白そうに言う理紫に、菜花は思い切り脱力する。 「……アンタ、最低」 また声を出して笑う理紫を後目に、菜花は自分のカバンを肩にかけ直す。 「…私はこのまま帰るから、どうぞ思う存分続きして、いちゃついて下さいな」 「悪いな、黒来」 否定もせず、引き留めもしない理紫に菜花は深々とため息をつく。 「…本当に大事にしてよ」 「分かってるって」 けれど、海月を想うその笑顔がとろける程に甘く優しいから、しょうがないなと思ってしまう。 「…海月も全く、ろくでもないのに捕まったもんね」 ドアが閉まる間際、菜花が独り言の様に言うと、 「それも十分、分かってるよ」と後ろから声がした。 背中でカチャリ…と鍵を閉める音が聞こえる。 菜花はもう1度、深くため息をついた。
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