第14話

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「…ありがとうございます」 水を一口含むと、爽やかなレモンの香りがする。 「ゆっくりしておいで。丁度お客さんも少ない時間帯だし、気にしなくていいからね?」 桐谷はそう言うと、カウンターの中へと入っていった。 「すみません…」 海月はコトン…とカウンターテーブルにおでこを落とす。 頭がワンワンして、どうしようもない…。 朦朧とする頭で時計を見ると、もう面接の時間が近付いている。 (遅れるって、連絡しなくちゃ…) けれど、カバンを開けて中から携帯を取り出そうとすると、手が滑ってバサバサと中身を派手にぶちまけてしまった。 (何やってるの…、もう) 情けなくて、涙が滲んでくる。
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