1325人が本棚に入れています
本棚に追加
「…何んで笑うの?」
「いやー、海月ちゃんが純真で嬉しくってね」
口元に握った手の甲をやり、理紫は笑い続ける。
海月はハァ…ッと1つ、ため息をついた。
今でも考えると恥ずかしい…。
高校生の時、毎月、理紫に付けられていた跡。
菜花は見る度に、毎回、痛々しそうに襟元を高めに直してくれたり、カットバンを貼ってくれたりしていた。
その時はそれの意味が分からなかったけれど、理紫とこうなった今ならば、見た人がどう思うか海月にも分かる。
「…どうして、高校の時、いつもあんなことしてたの?」
「あんなこと…?」
「……アト、付けてたこと」
今更だけれども、海月は顔をしかめ、理紫を軽く睨む。
それに対して理紫は『ああ…』っと、悪びれなく、
「ずっと、俺のだって思ってたから」
…サラリとそう答えた。
最初のコメントを投稿しよう!