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「絶対そうだって、思ったんだよな」
と、理紫が満足そうに微笑んだ。
「これで、今までよりも、海月に会いにこれると思うよ」
『さぁ、乗って…』
助手席に促された時だった。
何かに気付いた理紫が、いきなり、チッ…と舌打ちをしたかと思うと、海月の耳元で「ちょっと、待っててね」と囁く。
そして、自分が羽織っていたシャツをパサッと脱いで、海月を隠すように頭からかけると、身を翻して道路の方へと駆け出した。
「理紫…っ?!」
ガードレールを軽々と飛び越えて、道路向こうの植え込みに駆け寄ると、陰から「うわっ…」と声が上がる。
「こんな所まで、ご苦労な事ですね…」
並木に手を掛けて、怒りを隠さない口調の理紫の横から、カメラを手にした男が観念したように出て来た。
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