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男はため息を吐くと、開き直ったのか、自分の胸元から名刺を取り出す。
「見つかっちゃったなら仕方ないなぁ。…私、こういう者です」
差し出された名刺には、AYAとの記事が載った雑誌の出版社名とこの男の名前と見られる名前が書いてあった。
理紫がそれを見ながら、
「…もう1人の方はどこです?」
と聞くと、男が、
「どうして?」
と反対に聞いて来る。
「…あの記事の写真、同じ時間なのにアングルが2箇所からだった。ということは、あなた達は2人以上という事でしょう?」
けれど、こんな隠し撮りをするのに、人数は邪魔なだけのはずだ。
だとすると、2人が妥当だろう。
しかも暗に、あの記事もお前達が書いたんだろうと言ってやれば、男は苦笑いをした。
「徳井くん、君、聡いねぇ。でも分かってるなら、話は楽だ」
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