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女は答えない海月に向き直ると、鞄から小型のレコーダーを取り出し「ちょっと、いいかしら?」と聞いてきた。
返事も待たずに、スイッチを入れる。
「職業はモデル?女優さん?どこの事務所に所属してるの?」
訳の分からない事を聞かれ、値踏みするように上から下へと遠慮なく見られて、海月は嫌な気分になる。
「…大学生です」
それでも答えてしまったのは、性格ゆえだろう。
その時、走ってきた理紫が、海月を守るように、手を伸ばして間に割って入ってきた。
「やめて下さいよ…」
女は構わずに、ニッコリと営業スマイルで話しかける。
「徳井 理紫くん、ね?色々とお話をお伺いしたいのですけれど」
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