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理紫の露骨な言い方に、高宮は瞬間ギョッとした顔をしたが、それでも諦めきれないのか、逆に言質を取ったかのように、
「ではAYAさんではなく、そちらの彼女と正式にお付き合いしている方ということでいいんですね」
と、身を乗り出して聞いてくる。
…理紫は高宮の言った事に、思わず苦笑いした。
きっと、この2人は自分を張っていて、海月を見つけ、次のスクープに小躍りしたのだろう。
確かにまだ名前の売れていないサッカー選手に、今まで色恋の噂の1つもなかった人気モデルのAYAが弄ばれたという事になれば、いい見出しになる。
「でも、それではおかしいですよね。私達は見ていたんですよ?徳井さんの言うところの《二股》でないのなら、あの夜、AYAさんと親密そうに歩いていたのは…」
「やめろ、高宮」
焦って、まくし立てる高宮を坂木が止めた。
「坂木…さん…」
『コイツは俺達が思ってるより、ずっと…』
『ずっと』何ンだよ?聞こえてるって…。
理紫にしても、自分の見目と歳のせいで、軽く見られ、侮られているのは分かっている。
だが、こういちいち苛つかされるのには、もう限界だった。
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