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理紫は一瞬驚いた顔をしたが、海月を見つめ、
「…ごめん、やっぱ俺、浮かれてる?」
『やたら、饒舌になっちゃってるし』言いながら、手持ち無沙汰になった手を、ボトムのポケットに引っ掛けて苦笑した。
「うーん…、でも会えない間、ずっと触りてーって思ってたから、ある程度、がっついてるのは勘弁して?」
そっと、右手を海月に伸ばし、宥めるように髪に触れてくる。
優しく長い指で梳かれると、うっとりとしたくなってしまうが、ごまかされる訳にはいかないから、海月は顔の強張りを解かない。
思い違いをしているらしい理紫は、ため息を1つ吐いた。
「…久し振りなんだから、そんな顔しないでよ。海月が嫌なら、俺は別に健全な《手繋ぎデート》でも…」
「そんな事言ってるんじゃ、ないの」
海月が、その手をやんわりと払いのけると、理紫が少しだけ顔をしかめた。
「…じゃあ、何?」
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