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理紫は海月をサラリと支えると「ほら…」と促すように囁く。
「な…、何言って…」
「『浮気者』は心外だけど、妬かれるのは嬉しいし、海月に『ばか』って怒られると、すげぇ、クルわ」
言いながら、ふにふにと海月の口唇に親指で触れると、思い付いたようにゆっくりとその指を舐める。
「……っ!」
キラリと金色に輝いた瞳と、動物めいたその仕草に、海月は身体が震えるのを感じた。
「…まぁ、いいや。今じゃなくても、後でいっぱい悪いことして、海月に沢山怒ってもらうから」
息を飲んで黙ってしまった海月に、クックッ…と笑いながら、
「こっち。この先に停めてあるんだ」
と言って、掴んだ腕を引っ張るように早歩きで歩きだす。
「理…紫っ!」
長いリーチに付いていけなくて、転びそうになった海月が理紫の名前を呼ぶと、
「もう、聞かねー」
と、欲を含んだ低い声で呟くように言われる。
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