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「……っ!」
「あの人達が来なきゃ、海月にそういう事する気満々だったんだから」
理紫は吐き出すようにそう言うと「サイテー、俺、八つ当たり…」と耳元に零した。
トクトクトク…、心臓の音がどんどん速くなっていくのを感じる。
い、今、何んか、すごい事、言われた…。
「俺、もの凄く我慢してんだから、あんまり無防備な顔、見せないでよ…」
切なげに吐息で囁かれれば、胸がキュウッ…っとなって、心臓が止まりそうになる。
「くるし…」
「…ゴメン!」
抱き締める力が強過ぎたと勘違いした理紫が腕の力を緩めるから、海月は離されまいとしがみついた。
「…海月?」
結局は、相手に弱いのは海月も同じだから…。
もう乾いてしまった口唇を噛んで、コクリ…と息を飲む。
「少し、も…」
「……?」
「…少しも、時間、無い訳じゃないよね?」
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