第3話 3.

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瞬間、海月は、何が起こったか分からなかった。 「ちょ、ちょっと、待ってくれる?」 頭を垂れた理紫にそう言われて初めて、全身を火で覆う程の羞恥に見舞われる。 やっぱり、言っちゃいけない事だったんだ…! 海月は余りの恥ずかしさに泣きたくなり、理紫の手を振り解くと助手席のドアに手を掛けた。 「帰…る…」 「はっ?」 「ここ…からなら、歩いて帰れるから、大丈…夫」 震える口唇を噛み締めて、やっとの事でそう言うとパシッ…と腕を捕らえられる。 「やだっ!離して…っ」 海月は顔を上げる事が出来ない。 理紫の軽蔑した目なんて見たくない。 けれど、そのまま車から飛び出そうとレバーを引いたのに。 「……!!開かない?」 虚しくカチャカチャという音。 「何んで…ぇ…」 言った途端、グイッと掴まれた腕を後ろに引かれ、身体を羽交い締めにされた。
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