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瞬間、海月は、何が起こったか分からなかった。
「ちょ、ちょっと、待ってくれる?」
頭を垂れた理紫にそう言われて初めて、全身を火で覆う程の羞恥に見舞われる。
やっぱり、言っちゃいけない事だったんだ…!
海月は余りの恥ずかしさに泣きたくなり、理紫の手を振り解くと助手席のドアに手を掛けた。
「帰…る…」
「はっ?」
「ここ…からなら、歩いて帰れるから、大丈…夫」
震える口唇を噛み締めて、やっとの事でそう言うとパシッ…と腕を捕らえられる。
「やだっ!離して…っ」
海月は顔を上げる事が出来ない。
理紫の軽蔑した目なんて見たくない。
けれど、そのまま車から飛び出そうとレバーを引いたのに。
「……!!開かない?」
虚しくカチャカチャという音。
「何んで…ぇ…」
言った途端、グイッと掴まれた腕を後ろに引かれ、身体を羽交い締めにされた。
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