2923人が本棚に入れています
本棚に追加
けれど、この一癖も二癖もある、どこか浮き世離れした母親に育てられたからこそ、ああいう子が出来るのだと理紫は妙に納得する。
守られて…、愛されて…。
「…陽子さんのお陰ですね」
「サトくん?」
ただでさえ、普通の母親よりも若いけれど、首を傾げる姿はどこか少女のようだ。
「大事な海月を俺にくれて、ありがとうございます」
装ったものではなく、理紫は自分の言葉で陽子に伝える。
陽子の瞳が大きくなるのが分かった。
「それなのに…」
「……?」
「それなのに、必ず幸せにするとは俺にはまだ言えません。でも、…俺は海月がいないと幸せになれないんです」
俺は何を言い出しているんだろう。
微笑えてはいるが、何故だか肺の奥が軋むように痛んで苦しい。
最初のコメントを投稿しよう!