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◇◇◇ 光くんとの出会いは一年前の入学式の日。 『きゃあー!光くん?光くんだよねっ?』 『同じ学校だったんだぁ!嬉しいー!』 女の子達の黄色い歓声が耳に響く。 『なにあれ…』 今日子ちゃんが耳を手で塞ぎながら視線を向ける先には、やけに騒がしい人だかりができていた。 その中心に、光くんがいた。 『何?誰あれ?光…?紗枝知ってる?』 『………』 『ちょっと、ちょっと紗枝!聞いてる?』 『…えっ?』 『んもぅ、だからー、あいつ、あのみんなに囲まれてる光ってやつ、知ってる?』 『知らない…』 何も知らない。 今日初めて出会った男の子。 なのに、なんだろう…この感じ。 『芸能人…?じゃないよね?』 『うん…多分』 『まるでアイドルみたい』 『だね…』 ドキドキと、心音が高鳴る。 光くんという男の子に、私の視線は釘付けになっていた。
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