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「光くん、私ほんと毎日光くんの動画観てるよぉ!」 「私も私も!四六時中頭の中で光くんの曲流れてるから!」 「あはは、ありがとう。嬉しいよ」 本当に嬉しそうに笑って答える光くん。 …胸がズキリと痛んだ。 今までにも何度も感じている、嫌な痛み。 私だって…私だっていつも光くんの動画を観ている。 四六時中頭の中を流れている。 「ほら、見たあれ?紗枝もアピールしなきゃ。ライバルに負けちゃうよ?」 「そうだね…」 「そうだねってあんた、とられちゃってもいいの!?」 いいわけがない。 ちゃんとわかってる。 このままじゃ何も伝わらないし、何も変わらない。 一生片思いのまま。 ちゃんと、わかってるよ…。 そんなの今まで嫌というほど感じてきた。 だけど…頭ではわかっていても、心がおいつかない。 いつも何もできず、ただ見ているだけの私がいた。
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