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見てみると俺の肩に頭を乗せ
トロンとした目でこちらを見つめる女。
酔っぱらっているせいか
女の目は熱を帯び微かに潤んでいた。
それに反応するように
俺の鼓動が速まってゆく。
「じゃあ、任せたから。
サキちゃんは大切なお客様なんだから
悪いことしたらダメだからな」
固まる俺に神崎は楽しそうに言うと、
他の客のところに行ってしまった。
――ヤラレタと思った。
何故なら俺はこの女を知っていた。
いや、
知っているというか
正確には何度か店で見掛けたことがあり、
少し気になっていたのだ。
どうやら神崎に気づかれていたらしく、
前にも何度か話を振られたことはあった。
でも、
それを上手く交わしていたつもりでいたが、
どうやら神崎の方が一枚上手で
全くごまかせていなかったみたいだった。
悔しそうに睨む俺を
神崎は含み笑いを見せる。
どうすればいいと言うんだ。
彼女とは一度も話したこともないし、
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