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なぜ彼女が今日こんな酔い方をしているのか、
何となく分かってきたような気がした。
「誰もそんなこと言ってないだろ?
話を聞いてやるから
とりあえず立って席に戻ろう」
怒鳴っては逆効果だと、
子供をあやすように
優しい口調でもう一度、
彼女に手を差しのべてみる。
するとあんなに抵抗していた彼女が
今度は素直に俺の手を取り、
立ち上がってくれた。
少し接し方を変えただけで、
こんなにも違うものなのかと驚いたが、
彼女が立ってくれたおかげで
さっきから居心地が悪かった女性用トイレから
やっと出ることができた。
俺は彼女を支えながらトイレを出ると、
さっきと同じ席に座らせる。
そして置いてあった水を彼女に持たせる。
彼女は素直に受けとると一気に飲み干し、
そしてやっと少し落ち着きを取り戻したのか深く息を吐いた。
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