期限

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履いていたはずのストッキングは 引き裂かれたように伝染していて 履いて帰れる代物ではなかった。 「昨日は激しかったから……」 男は意味ありげに言うと ストッキングを取り上げ、 まるで私に見せつけるかのように 高々と上げた。 「変なことを言わないでよ!  とにかく覚えてないの。 だから何かの間違いよ、 忘れて!」 ストッキングを男から掻っ攫うように取り上げると、 素早くカバンに仕舞い込む。 顔が熱い……。 男の言葉に一瞬、 変な想像をしてしまった。 恥ずかしさで火照る頬を抑えながら 忙しく帰り支度をする。 不意に腰に手を回されたかと思うと 強引に引き寄せられる。
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