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「ありがとう、ございました」
その夜の行為を終えて、可愛がいつものようにフラフラと立ち去ろうとすると、樹利は何も言わずに手を引いて、強く抱き締めた。
「……樹利様?」
腕の中で戸惑ったように顔を上げる可愛に、
「可愛が嫌じゃなければ、このままここに」
と抱き締めた腕に力を込めた。
「……嫌だなんて」
可愛は頬を赤らめて、そっと胸に寄り添い、
「樹利様の胸はとても大きくて温かくて安心します」
と心地よさそうに目を細めた。
「……樹利様、本当にありがとうございます」
胸の中で静かに漏らした可愛に「ん?」と樹利は不思議そうに見下ろした。
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