第2夜 魅惑の口付け

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「最近大活躍だってね、探偵さん」 そう言って煙草を咥えた冴島に、マスターがすかさず火をつけた。 「サンキュー、マスター。 新宿の揉め事を色々解決してるそうじゃないか。この前はナンバー1ホステスにつきまとっていたストーカー問題を解決したとか」 「あ~、あれは簡単な仕事だったよな、パリス」 そう言った樹利に、 「う、うん」 と、躊躇いながら頷いた。 ストーカーをしていた男をとりあえず捕まえて、 最初ガツンと脅した後、カツ丼をご馳走して、その後に一緒に飲んで、泣きながら語る男の話をとことん聞いたあと、 『とりあえずたまったすべてをスッキリして来い。ここは俺がおごるから』 と風俗店に放り込んだ。 乱暴すぎる方法に本当にハラハラしたけれど、店から出て来た彼は、肌もつやつやして、目から毒気がなくなり、まるで生まれ変わったような顔をしていた。
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