第2夜 魅惑の口付け

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裏でホストを操る『ミスターX』は誰なのか分からない以上、このままでは同じことを繰り返してしまう、 ということでオーナーの冴島は僕たちに依頼をしてきた。 ……わけなんだけど。 「キャーッ、樹利ぃ。やっと戻って来たぁ」 「早くこっちに来てぇ」 店に入るなり響く女性達の黄色い声に、 「悪い悪い。せっかく来てくれてるのに、待たせてごめん」 と樹利は近くいた女性客の手を取って、その甲にキスをした。 その瞬間、 「きゃあああ、ずるーい」 「わ、私の手にもキスしてほしい」 と割れんばかりの声が店内に響く。 「…………なに、この染まりっぷり」 とパリスは女性に囲まれる樹利の姿を一歩離れたところで眺めながら、そっと目を細めた。
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