第1夜 Crazy Moon

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「そんなことしてる場合じゃないよね?今、どういう事態なのか調べないと」 「えー、そういうのはブレーンであるお前の仕事だしぃ」 面倒くさそうに言う樹利に、パリスは目を細めた。 「とりあえずテレビをつけよう。今どんなニュースになってるのか。マリーさん、リモコンお借りします」 パリスはそう言ってニュース番組をつけた。 『……警察は松井グループ社長のひき逃げによる殺害事件で、重要参考人だった二人の探偵の行方を追っています』 ニュースを目にしたマリーはパチクリと目を開いた。 「あらぁ、この事件でお尋ね者になってるの?その割に名前も顔も出てないのね?」 「んー、まぁ、俺達の名前はあってないようなものだから」 樹利はそう言って笑みを見せた。 「あってないようなもの?それってどういうこと?」 「まぁ、でも俺と言う存在はベッドで感じてもらえれば」 「やん、身体が火照っちゃう」 「って、樹利!」 横目で睨むパリスに、樹利は『はいはい』と手を上げた。 「とりあえず、気が進まないけど、あの人のとこに情報をもらいに行くかな」 息をつきながらそう告げた樹利に、「あの人って?」とパリスは小首を傾げた。 「まぁ、行けばわかるよ。悪いな、マリー」 そう言って立ち上がった樹利に、パリスも「すみません、お邪魔しました」と頭を下げた。
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